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アソシエイツ大鹿行

労働組合法人 アソシエイツ大鹿行(Associates Dairokko)は、令和4年に成立した、茨城県神栖市、鹿嶋市、千葉県銚子市を活動エリアとする個人加盟型労組です。正社員・嘱託社員・パート・派遣など、雇用形態に関係なく、一人からでも加盟が可能です。

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特別寄稿:我らが闘争の炎(ほむら)立つ -元請け企業の使用者性の考察とその追求-



ブラック企業と元請け企業の責任:労働者の権利を守るために



映画「フツーの仕事がしたい」の回想
 2008年、土屋トカチ監督による衝撃的な映画「フツーの仕事がしたい」が公開されました。この作品は、当時の日本社会が直面していた深刻な労働問題を鋭く描き出し、多くの人々の心に残る重要な作品となりました。 映画の公開前後、いわゆる「派遣村」問題が大きく取り上げられ、非正規労働者の使い捨てや人権蹂躙が社会問題として認識されるようになりました。この時期、日本の労働環境の厳しさが改めて浮き彫りになったのです。 「フツーの仕事がしたい」の主人公である皆倉さんは、タンクローリー運転手として働く中で、ブラック企業の非人道的な労働慣行に立ち向かう姿を描いています。残念ながら、実在のモデルとなった皆倉さんは既に亡くなられました。ここに謹んで哀悼の意を表します。  
 映画は、反社まで使って労働者を威圧するブラック企業に対し、皆倉さんが勇敢に立ち向かう姿を描いています。そして、彼を支える労働組合の活動も生き生きと描かれています。特筆すべきは、皆倉さんの所属する労組だけでなく、友誼団体も含めた労働者の連帯が描かれている点です。  
 物語のクライマックスでは、ブラック企業の元請けであるセメント大手フコックスの大阪本社前で大規模な街宣活動が展開されます。この団結した行動が功を奏し、最終的にフコックスが折れ、皆倉さんたちの要求を受け入れるという展開になります。これは、労働者が人間らしい働き方を実現するための第一歩を示す象徴的な場面でした。


ブラック企業を使う元請け企業の責任  
 「フツーの仕事がしたい」が描いた問題は、今日でも決して解決されていません。むしろ、より複雑化し、深刻化しているとも言えるでしょう。特に注目すべきは、ブラック企業を下請けとして使う元請け企業の責任です。
  最近の事例で、この問題の重要性が浮き彫りになりました。神奈川県で起きた一人親方の労災事故に関連して、神奈川シティユニオンが下請けの大京建機と元請けの大林組に団体交渉を申し入れたところ、両社はこれを拒否しました。しかし、神奈川県労働委員会はこの拒否を不当労働行為と認定しました。  

 この判断は非常に重要です。なぜなら、元請け企業の「使用者性」が広く認められたからです。つまり、直接雇用関係がなくても、実質的に労働条件に影響を与える立場にある企業は、労働者との関係で「使用者」としての責任を負う可能性があるということです。  
 この考え方は、最高裁判所の判例に裏打ちされた常識的なものです。1995年2月28日の朝日放送事件の判決では、番組製作会社の従業員が朝日放送に対して団体交渉を求めた際、朝日放送の使用者性が認められました。これは、直接の雇用関係がなくても、労働条件に実質的な影響力を持つ企業は「使用者」とみなされる可能性があることを示しています。  
 これらの判例や労働委員会の判断は、元請け企業がブラック企業の行為に対して無関心でいられないことを示しています。下請け企業の労働環境や労働慣行に目を向け、必要に応じて改善を促す責任が元請け企業にもあるのです。  
 実際、ブラック企業の悪行を放置することは、元請け企業にとっても大きなリスクとなります。労働問題が表面化すれば、元請け企業のブランドイメージが傷つく可能性があります。また、生産性の低下や品質の劣化といった問題にもつながりかねません。さらに、上記の判例のように、法的責任を問われる可能性もあります。  

 したがって、元請け企業には、下請け企業の労働環境や労働慣行をしっかりとモニタリングし、問題があれば積極的に改善を促す姿勢が求められます。これは単なる道義的責任だけでなく、企業のリスク管理としても極めて重要なのです。 労働組合の役割と今後の展望  このような状況下で、労働組合の役割はますます重要になっています。「フツーの仕事がしたい」で描かれたように、労働組合は個々の労働者の声を集め、組織化された力として企業や社会に訴えかける重要な存在です。  
特に、非正規雇用や請負、派遣といった多様な雇用形態が増える中で、従来の企業別組合だけでなく、産業別組合やコミュニティユニオンの役割が大きくなっています。これらの組合は、雇用形態や企業の枠を超えて労働者の権利を守る活動を展開しています。  
 今後は、労働組合がさらに連携を強め、社会に対する発信力を高めていくことが重要です。ブラック企業の問題だけでなく、長時間労働、ハラスメント、ワーク・ライフ・バランスといった幅広い労働問題に取り組み、すべての労働者が人間らしく働ける社会の実現を目指す必要があります。  
 同時に、企業側も労働組合を敵対視するのではなく、建設的な対話のパートナーとして認識することが求められます。労使が協力して働きやすい職場環境を作ることは、結果的に企業の生産性向上にもつながるはずです。  私たち一人一人が、労働問題に関心を持ち、声を上げていくことが重要です。 
 「フツーの仕事がしたい」が描いた皆倉さんのような勇気ある行動が、今でも必要とされているのです。労働者の権利を守り、誰もが人間らしく働ける社会の実現に向けて、今こそ行動を起こす刻(とき)なのです。



ユヤ・ティギティギ(世は次ぎ次ぎ)  
 奄美群島の風土をモチーフにした作風で知られる島尾ミホの文学作品。その中ででしばしば描かれる洗骨の儀式の中で出てくる奄美特有のユヤ・ティギティギ(世は次ぎ次ぎ)の概念・・・。  
 これは労働運動の社会的な位置づけ、そしてそこに身を置くものにも一つの重要な示唆を与えてくれるのではないでしょうか。我々労働運動の大先達とも言える、先述の映画の主人公皆倉さんや労働運動界のレジェンドの先輩達など、皆々様の遺志を我が世代が、その統ぐ(つぐ)者として最大限に頭を使い手を動かし声を上げて行動する事こそがその責務であると身の引き締まる思いであります。



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プロフィール

HN:
アソシエイツ大鹿行 事務局
性別:
非公開
職業:
個人加盟型労組
自己紹介:
 アソシエイツ大鹿行( Asociates Dairokko )は、茨城県鹿行地区を中心に活動している個人加盟型労働組合です。一人からでも入れる労働組合ですので、正社員ではなく非正規雇用の方でも加入が出来ます。茨城県鹿行エリア、千葉県海匝エリアで働く皆さんのパワハラ、セクハラから不当解雇まで、職場の問題のよろず相談・・・、お気軽にどうぞ。

また、話し合いにすら応じない違法行為連発のトンデモ経営者の愚行を徹底暴露します。「ブラック企業」や労働者を騙す「ブラック労組」や事件屋まがいの「労働組合標榜詐欺業者」についてなど、公共・公益性があるようであれば、きちんと裏取りした取材記事、音声、動画など多角的に、どんどん社会に可視化していきますので乞うご期待!

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